伊勢新聞

2018年3月29日(木)

▼県として初めて、セクハラ(性的嫌がらせ)で懲戒免職処分者を出したと聞いて、へぇー、県職員にもそんなことをするやつが出てきたのかと思うか、おや、県庁にもようやく「♯ME TOO(私も)」運動が波及してきたと思うか―

▼県の臨時職員に採用された女性が、臨時職員の経験がある母親から「県幹部はくせが悪いから気をつけなさい」と忠告されたという話を聞いたのは四半世紀前。「あの部長は」と具体例を聞いたのもその臨時職員からで、握手を求めては、指で手首の辺りをなでるのだという

▼免職になった35歳の男性技師の勤務先が児童相談センターで、児童相談に関わる業務を担当し「日頃の勤務態度には問題はなかった」というのが薄気味悪い。20代の女性職員に突然抱きついたり胸を触ったり。セクハラというより強制わいせつではないのか

▼「車のドアを手で押さえて降りられないようにし、拒否している被害者に抱きつく等の行為を行った」とも。まるで準強制わいせつ罪である

▼処分理由に「被害者が拒否しているにもかかわらず」「無理やり」行為に及んだことをあげている。県の「コンプライアンスハンドブック」は「セクハラにあたるか否かについては、相手の受け取り方が重要」。「判断基準となります」とも。「嫌がっていることが分かった場合にはすぐやめる」ことを求めている

▼嫌がっていなかったらいいということか。「行為」が判断基準のようでもある。上下関係など職場の人間関係の中で発生するのがセクハラで、まだまだ氷山の中に埋もれたままかもしれない。