2018年3月26日(月)

▼県から全国の判例基準となった裁判に「津地鎮祭訴訟」がある。地鎮祭への津市の支出が政教分離に違反しないかが争われ、一審合憲、二審違憲、最高裁合憲で決着したが、5人の裁判官が反対意見で、その後の裁判の「宗教的活動」の判断基準となった

▼「津子供会訴訟」も、ボランティア活動の引率者が過失責任を問われた裁判の第一号。ハイキングに参加した子どもが水死した事故を巡り、民事で約500万円の支払いが命じられ、計算法の過失相殺がその後の裁判の基準になった

▼被告の1人は県職員で、県がボランティア保険の創設や三重ボランティア基金を設立する契機となっている。鈴鹿市の「隣人訴訟」は、家族ぐるみの付き合いだった隣同士が預けた子どもの事故死で争いになった裁判だが、法務省が裁判を受ける権利が侵害されたという異例の見解を発表する結末になった

▼「親切があだ」などの報道に促され、一審勝訴の子どもの親に罵倒の電話や手紙が殺到して子どもは学校でいじめられ、引っ越しせざるを得なくなった。報道は「嫌がらせは暴力」などと一転。罵倒の電話や手紙の矛先は控訴をした方の家族へ向かい、取り下げざるを得なくなったのだ

▼「子どもたちのことを考えていなかったという大反省からのスタート」(廣田恵子県教育長)だったという。保護者の転居が条件だった越境入学制度で多数の違反者が発覚したため、保証人がいればいいことに変更した新制度を県教委は正式に決めた。「安全と安心を定めた制度」(同)。全国第一号の「保証人訴訟」などが起きないことを祈る。