2018年3月17日(土)

▼県議定数を現状に戻す条例改正案の採決を2度目に見送った14日の議会総務地域連携常任委員会で、傍聴の賛成派議員から「牛歩戦術」の怒りの声があがった。委員会の結論が出なければ本会議で採決できない。新制度には1年間の周知期間が不文律。3月中に採決できなければ、仮に賛成派が勝っても来年4月の県議選には間に合わない。それを見越した時間稼ぎという怒りらしい

▼さすがに知恵者がいると感心したが、一夜明けたらあっさり採決した。見当違いだったか、あまりにあざといと県民の目を恐れたか、それとも慎重審議のポーズに過ぎなかったか。それにしては、退席者を出して本会議の行方を不透明にした。改選前と今期の選挙区調査特別委を含め、不手際が目につく

▼改選前は6減の現条例に賛成し、今期は元に戻す条例改正案の議案提出者になった中村進一議員は「今回は一票の格差というよりも、地域事情について考えた」。一票の格差か地域事情かが二大争点だが、それだけではあるまい。「議決の重み」など、選挙区調査特別委の設立そのものの正当性を否定する論理がなかなか力を持っている

▼「一票の格差」にしても、現条例は格差の大きい伊賀市より伊勢市を減らしている。「地域事情」は改正案提出者らの大義だが、選挙区調査特別委員長だった三谷哲央議員の委員長案と一致しているのはたまたまか

▼「一票の格差」を金科玉条にすれば参院選で住民の政治離れが実証された合区に行き着かざるを得なくなる。条例の付帯決議通り、地方のあり方は不断に見直していかねばなるまい。