伊勢新聞

2018年2月28日(水)

▼「一事不再議」という。議会の意思がひとたび決定された以上、同一会期に再度同一問題の審議決定はなしえないとする原則で、日本では明文化されてはいないが、一部例外を除き、存在すると考えられている。同じ問題で議決を重ねるのは非能率で議会の信頼を損ない、権威に関わるとされるからだ

▼しかし、何をもって同一問題とするかの認定は容易ではなく、その判断は議会に委ねられているとされる。「議会は何でもあり」と言われるゆえんで、総務省は「有権者の代表を法律などで言動をしばるのは好ましくない。適不適は選挙で有権者が判断すべきというのが地方自治法の考え方だ」

▼まして県議会選挙区調査特別委員会が議員定数45の条例について2年審議し「合意に至らなかった」結論が、議決か、議決に至らずだったか判然としない。議会の信頼と権威は大きく損なったことは想像に難くないが、選挙区特別委で否定されたはずの現行定数に戻す条例改正案を改めて議会に提出しても、問題だとする法律はないのである

▼特別委で現行定数に戻す委員長案は「現行条例で一度は選挙を」などの反対が相次いだ。再び提案する理由について、提案者は「議会としての結論を出すべき」「地域間格差の是正」をあげる。一度選挙してしまったら万事休すの危機感は伝わる

▼議会にもルールはある。過去の判断、行動の積み重ねてきた慣例だが、今回の提案者は次回選挙で定数が減る選挙区の県議。自分の選挙区の課題や影響する事案は、他の選挙区の議員に提案者になってもらったものだが、慣例も変わった。