2018年2月17日(土)

▼津市と四日市市で、店舗に車が突っ込む事故が相次いだ。73歳の男性と69歳の女性。ブレーキを「踏んだつもり」「踏み間違えた」の供述の違いはあるが、警察庁がまとめた75歳以上の死亡事故調査で、ブレーキとアクセルの踏み間違いなど「操作ミス」が31%で最多だったことと符号する

▼40代のころ、踏み間違えて壁に追突したことがある。あせればあせるほどアクセルを踏み込んだ。一方で、サイドブレーキを引き、キーを切ったのだから焦燥と冷静さは同居しながらちぐはぐに働くものなのだろう。踏んだつもりで踏み間違えることは誰にでも起こると自戒している

▼警察庁の後期高齢者の調査と、県で相次いだ前期高齢者の事故は分離して論じる話でもあるまい。むろん、60―64歳も、その下の50代も。警察庁の調査は、認知症の恐れの「第1分類」が7・0%で認知機能低下の「第2分類」が42%。計5割の事故と認知機能低下を結びつけるのはいいとして、原因で最多の踏み間違いも結びつけてしまうのは荒っぽい気がするのである

▼高齢化率は年々上昇し、元気なお年寄りが増える一方で、認知機能が低下していくことも避けられないが、踏み間違いについては右足でブレーキもアクセスも操作する運転技術と、それに合わせた車の構造の問題も大きいと指摘されて久しい

▼AIで車社会は急速に変わるとされているが、踏み間違い防止はドライバーの能力の問題とされ、運転教育にも車の技術革新にも反映されてこなかった。そのツケが高齢化社会で出てきていると言えなくもない。