伊勢新聞

2018年2月10日(土)

▼鈴鹿市が昨年12月の市議会で夏休み中の小学校プール開放に地元関係者らの参画を問われ、慎重な答弁に終始した。地域づくりに有効としながらも「しっかりした監視体制」が前提とした上で「今後の事業のあり方を検討していく必要がある」

▼お隣四日市市で同8月、小三男児が集中治療室に運び込まれる事故が起きたこととも脳裡にあったに違いない。その四日市市は監視体制を一層強化することで事業継続を決めたらしい。「しっかりした監視体制」が可能かどうか。隣市で楽観論と悲観論に分かれた格好だ

▼鈴鹿市が監視状況のモニタリング調査を始めた前年の平成24年、大阪府泉南市の小学校プールの死亡事故を受け警察庁は外部委託を警備業認定業者に限定した。委託費がはね上がり、自治体は安全か金かの選択を迫られた。断念か、PTAやボランティアに委託するか以外、運営できなくなったのだ

▼鈴鹿市のモニタリング結果は「スマホや私語に夢中」など問題点が多かった。監視者の水着着用や安全管理順守の誓約書を求めることにしたら22校の保護者が断念。実施は8校だけになった。それでも、問題は完全に解消されたわけではないといわれる

▼事故直後、四日市市教委は「原因究明を進める」としたが、結果は未発表。鈴鹿FMのパーソナリティーが、監視員のスマホ操作中だったと語っていた。消防署員の地域の講習中の話らしいが、果たしてそうか。警備業者への委託料は、一説によると900万円弱。厳格な安全基準を設定したとしても、見合う責任をPTAに委ねて済む話かどうか。