伊勢新聞

2018年2月4日(日)

▼予算編成に財政畑の稲垣清文副知事が県三役に加わり、プロ不在だった前年度みたいなぶざまなことはあるまいと思っていたら骨折で療養。どうなることかと心配したが、知事査定には間に合ったようだ。県教委の運動部指導員配置予算の要求に「必要性は一定理解するが、財政が厳しいので最小限度に」

▼政策的経費を対前年比80%のマイナスシーリングに設定というからすさまじい。教員の過剰残業が問題となり、部活動の顧問業務が国でも地方でも〝諸悪の根源〟みたいに言われる中で「財政」の錦の御旗を振りかざした〝名ばかり一定理解〟みたいな言い方。面目躍如である

▼ちばあきおの人気漫画『プレイボール』を紹介したことがある。都立高校の弱小野球部に主人公が入部して部員の意識が変わり、強豪校へ成長していく物語だが、一度だけ顧問が登場する。過激な長時間練習で成績が落ちたとする保護者の抗議を受け練習時間短縮、補習授業を命じる場面だ

▼野球はルールも知らぬが「勉強なら」と補習授業を監督し深夜、郊外の自宅に帰る生活が続き、成績復活とともに元のスタイルに戻っていく。中高での経験と重なる。中学校のサッカー部顧問は全国大会出場経験のある数学教師で、高校のテニス部はテニス好きの化学教師だったが、練習に現れることはなかった

▼事故への懸念が課外活動への学校関与が強まり、実績に顧問の手腕が問われ、指導者を求め生徒が集まるという構図になったのだろう。〝異常が常態化〟した県立高校の部活動に「財政」の視点から一石が投じられるとしたらおもしろい。