伊勢新聞

2018年1月30日(火)

▼猫の目のように首相が交代していたころ、「リーダーの定まらぬ国が相手では腰の据わった外交などできない」と外国の研究機関に批判され「変化の激しい今の時代に即応するため変えているんだ」と反論したという人がいた。「苦し紛れ」と笑っていたが、安倍政権の歴代最長記録が視野に入ってきた今、思えば懐かしい

▼六期半ばで辞任した田川亮三元知事が五選を目指した時、多選批判したのが県選出の自民党国会議員で、口火を切ったのが野呂昭彦前知事、その意向を伝える役目が北川正恭元知事だったと言われる。当時流行した「永田町の論理」だと田川に反論されて失敗。北川氏の知事就任時、多選への見解を報道陣から繰り返し問われることにもなった

▼県民の意向があるとしながらも「三選以上は法律を作っても禁止すべきという考えはある」。野呂氏もほぼ踏襲。三選への判断はともにグレーだったが、結果的に二期で終わったのは田川県政への姿勢も影響したのかもしれない

▼名張市長選で、五選を目指す亀井利克市長に新人の森脇和德元市議、北川裕之県議が多選批判しているという。県議二期目で北川県政に接し、会派を超えた知事支持グループと見られた亀井氏が、盟友とされた富永英輔前市長に多選批判で挑み、今は今回で「最後」と言い切っているというのも、危機感があるかは別にして、感慨はある

▼「いかに新しい知識を吸収し、進取の精神を持ち続けるかだ。多選は関係ない」というのが、多選を問われるたびに田川元知事が語った言葉。有権者がどう思うかであることには違いない。