伊勢新聞

2018年1月21日(日)

▼県の新年度予算編成の大詰め、知事査定が始まり、鈴木英敬知事は「厳しい財政状況であるため、必要な事業に資源を集中させ、最大限の成果を県民に届けるよう知恵を絞る」。5日の年頭会見でも「いかに厳しい財政状況の中で選択と集中を図り、県民に真に必要な投資を未来志向でしっかりやっていくことが課題」

▼国もこのところ「選択と集中」という言葉が目立つ。少ない予算を効果的に配分しようとすると、それが当然の手段として登場してくるのだろうが、それ以外は「排除する」の論理とも裏と表との関係になる

▼県の施策は、これまで「優先順位」「メリハリ」などの言葉が使われてきた。予算はいつの時代も限りがある。上位の施策が選ばれることでは「選択と集中」と似ているが、下位は先送りとなって、予算は削減されても排除されることはない

▼不必要な事業というのが基本的にはない県政で、「必要な事業に資源を集中させ、最大限の成果を」得ることを繰り返せば、結果的にそれ以外の事業が排除されることにならぬか。「必要な事業」と「最大限の成果(があげられる事業)」が重なってくるとなおさらであり、そうなりがちなのが1期4年での成果を問われる県政の宿命でもある

▼鈴木県政の「最大限の成果」の対象は少し前は伊勢志摩サミット。29年度は「スポーツ元年」で新年度は「スポーツ2年目」。「いいのはサミット担当ばかり」が、かつての県職員のぼやき。「いいのはスポーツばかり」がそれに続くようだと「平成30年の節目」などと言っても職員の士気はあがるまい。