伊勢新聞

2018年1月15日(月)

▼「現状では車を通すのはいつでも選択できる。とりあえず車を通さない形で進めてはどうか」というのは未練か、郷愁か。「車を通して土地の価値が上がれば、アパートが増えると思う。空き店舗や空き地がある中、商店街に人が住むようになるのではないか。早急に通すべきと思う」は、過去にしがみつくのはやめて新しく出直そうということだろう

▼昭和39年に設置されてから半世紀以上、津市大門大通り商店街の象徴だったアーケードが撤去される。老朽化が進み、維持管理が難しくなってきた、すなわち組合費で維持していく意味が薄れたということだろう。閑散とした商店街では、日差しを遮るアーケードが今は暗い雰囲気を助長している

▼アーケード撤去派が増えたのは必然だろうが、振興策と結びついてはいないようだ。「とりあえず車を通さない形で」がその提案とは思えないし、地価上昇に伴う住民増というのも、策と呼べるほどでもない

▼市北工事事務所の担当者に至っては「車を通す場合、モニュメントは撤去しなければならない」。振興などは担当外。市が維持管理する道路の事務手続きのことしか関心ないのだろう。「組合が撤去」の回答で首尾は上々ということか

▼会合場所の津センターパレスは旧津市役所跡地。商業ビル建設で丸の内を活性化するという大義名分で土地売却益で現市役所を新築したが、構想はことごとく失敗。商業ビルの赤字を市関連施設の入居で埋める。商店街の衰退もそのあおりだが、そんな昔の責任や痛みなど思い至るはずがないのが市というものかもしれない。