伊勢新聞

2018年1月9日(火)

▼振り袖姿の女性を見かけて、7日のことだが、着付けの練習かと思ったのは美容学校直営の美容院だったからだが、8日だったとしても、成人の日だとピンときたかどうか。県内の成人式はすべて7日までに実施し、8日はなしと聞かされると、荒れる成人式とは別に、国民の祝日としての意義が薄れていく気がしなくもない

▼除夜の鐘で一年の汚れを落とし、初詣で新しい出発を誓う。悠久の時間の中の折々に節目を設け決意や気持ちの一新を図る。そんな古来の知恵が一番生きている年末年始に一番近い国民の祝日だから、特にそう思うのかもしれないが、社会人への入り口に立った新成人を国民の多くが祝福して迎える伝統は残したい

▼成人の日は「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」ことを趣旨に昭和23年、元服の儀が行われていた旧暦小正月の15日に定められたが、ハッピーマンデー制度の導入で1月の第2月曜日という移動式に変更された。他の祝日と同様、本来の趣旨より、週休2日制の浸透と合わせで月曜祝日の3連休とし、余暇を充実させ経済効果を優先させる狙い

▼ハッピーマンデー制度によって敬老の日から分離した老人の日を当事者団体は重視している。荒れる成人式は、成人の日の趣旨が大人の都合で定められ、自分たちは添え物に過ぎないと新成人らが本能的に嗅ぎとったからかもしれない

▼8日だと翌日が平日のため十分旧交が温められないと、7日に成人式が集中したという。それはそれで、新成人のご機嫌をうかがっているようでもある。