▼伊賀市議会の視察で、「飲酒状態で視察をした」と調査を申し入れた1年生議員に対し、古参の議会運営委員長が「この文言なら、ふらふらになっていた状態ととれる」として「そんなにおかしな状態だったか」。「酒気帯び」か「酒酔い」かで、飲酒運転も罰則にも軽重があるではないかということか
▼「ふらふら」状態は摘発も判断もしやすいが、問題は外見でそうは見えないケースだ。ブレーキを踏むのが半呼吸遅れる、注意力が散漫になるなどは県警はじめ交通安全機関の指摘だが、自分は大丈夫という向きも少なくない
▼交通安全とは違い、たかが視察だ、外見が「そんなにおかしな状態」でなければ、まあそんなに目くじらを立てなくてもと、市議会は言うのだろうか
▼「人間として一つの大きな楽しみ。コミュニケーションが図れて良い」という発言もあるという。カラ出張全盛時の県で、職員らが「酒も飲まずに本当のことが話せるか」と互いにうなずき合っていたことを思い出す。始まりは官官接待など対外交渉を有利に運ぶためだったが、問題化した時は自分たちで飲み食いした割合が断然多かった
▼人はとかくやすきに流れる。酒の格言は長所短所さまざまだが、「酒極まれば乱れ、楽しみ極まれば悲し」は史記・滑稽伝。「酒は先に友となり、後に敵となる」は日本のことわざ
▼忘年会シーズンは終わるが、正月へ酒席の機会は続く。百薬の長もコミュニケーションを図るのも悪くはないが、公職にある者は万が一にも公務が毒されることのないよう、市民に倍して不断の自省、熟考を怠るべからず。