伊勢新聞

2017年12月16日(土)

▼退職する県職員の再就職制度は平成24年、県外郭団体の要請に基づき候補者を個別に紹介していたのを改正。退職者全員をリストにして公表。選別は団体側に委ねた。「あとはもう好きにやって下さいというのを透明にやろうということ」(鈴木英敬知事)だったが、今度は「要請は特になかった」が、リストを民間へも提供していくという。民間から迷惑がられはしないか

▼県と外郭団体との間に、長年の需要と供給の慣行があったことは間違いない。県OBがいることで、労力のいる専門的な申請書類などのやりとりがスムーズに進むからだ。県と民間の間にも、かつては需給関係があった。民間に再就職した県職員OBの主な仕事は古巣への「名刺配り」。顔を生かして受注にありつこうというのはかわいい方で、現職の時に発注したのを〝みやげ〟に幹部らが天下りしているというのは実名入りで本紙に寄せられた平成17年の〝投書〟だ

▼OBの再就職あっせんを外郭団体限定の紹介方式にした野呂昭彦前知事は「民間等へのあっせんはいたしません」と胸を張った。退職者リストを送りつけるというのは、グレーゾーンに近づいたということでもあろう

▼背景に民間の〝お付き合い〟採用が激減していることがあるのだろう。「送った意味を考えてくれよ」ということである

▼「寄付につきご協力を」と「お願い」する一方で寄付集めでらつ腕を振るった副知事がいる県庁である。「口利き禁止要綱」を制定し「全国でも実効性ある制度」と胸を張った野呂前知事は全国と足並みをそろえる改正をどう見るか。