2017年11月25日(土)

▼四日市市の女子中学生がSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)で知り合った男性に誘い出される事件が発生し、座間事件の衝撃がにわかに身近に迫ってきた気がするが、女子中学生が誘い出されること自体はSNSが登場する前から珍しいことではない

▼特定個人を誹謗(ひぼう)中傷し、自殺者も出た学校裏サイトが社会問題化し、文部科学省が調査報告書をまとめたのは平成20年、県教委も調査するなどしたが、当時からも、調査を打ち切ってからも、ネットは悩みを訴える女子中高生であふれていた。ネットパトロールしていた公益財団法人反差別・人権研究所みえ職員が相談に忙殺されていた

▼鈴木英敬知事は先月末の記者会見で、いじめ防止条例でSNSを活用することを明らかにしたが、国が予算概算要求しているので県も適用を働きかけていくと語った。いつか来た道という気はするが、むろん過ちては改むるにはばかることなかれ、ではある

▼活用法では「いじめの早期発見」を強調。「SNSで相談を」と問われて戸惑い気味だったのは気がかりだが「そうですね両方」と一応断言した。「相談」は膨大なエネルギーを要する。前のように東京の業者へ委託するなどでお茶を濁すことはできない

▼総合教育会議で出た「いじめ防止条例」素案は適切な利用の啓発。案の定、前回から時間は止まったままだが、知事は越境入学問題で「県教委は校長任せにせず」。何かと言えば校長の役割を指摘していた学力テスト取り組み時に比べ県教委の体質に気づくこともあるようだ。「両方」へ指導力を期待したい。