伊勢新聞

2017年11月22日(水)

▼三重労働局と報道機関との懇談会で、業務を説明した幹部が働き方改革への報道の関心が高まっていることを歓迎した。「今日も大きく掲載されていました。昨日も岐阜の件で」

▼「今日」というのは東京都の日野市立病院が労使協定を超える違法な残業を八王子労働基準監督署が是正勧告したこと。「昨日」の方は、岐阜市民病院が月100時間の労使協定の残業時間の是正勧告を岐阜労働基準監督署がしたが、労使協定を月150時間に改定したということ

▼それぞれ昨年12月、同11月の勧告だから「報道の関心」の指摘はその通りだが、いずれも労働基準監督署の仕事。自身の業務が政権の重点課題となって、意気軒高ぶりが伝わってきた

▼「マスコミ報道は100時間に集中していますが」と林雅彦・三重労働局長が含み笑いした。「重要なのはそこではなく、45時間以内の月が6カ月以上なくてはならない点」。規制強化の正しい趣旨を伝えようとするのは大切だが、医師が月100時間の規制を5年間猶予されて、150時間改定自体は違法とはならない。45時間など雲の上の話になっている「重要」性については、触れられることがなかった

▼「われわれ末端機関は法の厳格な適用に務めるだけ。政策には無力」とある幹部。職場の女性比率の向上のために厚生労働省が定める「悪い例」を堂々と促していても、大学であれば「文科省の管轄ですから」

▼同じ「聖職」意識が強制され、残業の自己申告が多い教師の過剰労働については厚労省管轄の病院と違い、学校への勧告例がなくても矛盾などないのだろう。