伊勢新聞

2017年11月21日(火)

▼舟橋裕幸県議会議長が、政務活動費(政活費)の後払い方式について、会見で「年内にも結論を」と、賛否が割れた検討会議の審議を促した。「たとえ半歩ずつでも進めていくことが大事」

▼政治は利害が対立する双方の妥協によって前進していくという意味ならその通りだろう。条例改正をしないで後払い方式にする新政みえの案が「私の思いが反映されている」と評価したのも、政治家としての思いと現実との間で妥協の必要を少なからず痛感してきたにベテラン議員の歩みを反映したものと受け取れなくはない

▼議論がもめにもめ、最終段階で収拾案として、自分の思いとはかなり違う結論になるが「たとえ半歩ずつでも進めていくことが大事」と助け船を出すなら大岡裁きの趣がある。が、最初から妥協の産物のような提案をすることにも、反発が多い中でいち早く一方への賛否を明らかにするのも、議長の姿勢としてどうかなという気がするのである

▼舟橋議長は選挙区調査特別委員長の時、一度も実施していない条例の県議定数を4議席上回る正副委員長提案をしている。選挙区調整も、地元事情というより、地元議員事情に配慮したかのような判断がみられ、説明がつかないなどの批判が相次いだ

▼かつて抜群の調整力で知られた県議について「頼んだ内容と真逆の動きを始める。苦情を言うと、お前らが何を分かってと叱られた。そのうち、頼んだ通りの流れになっていく」と県職員が感嘆していた。そんな政治力を万人に期待はできないが、大義名分を忘れたかのような審議は、県民の政治不信を促進する。