伊勢新聞

2017年11月18日(土)

▼謝礼を約束して意見交換会に学生を動員したが「現金を支払っていないと確認した」と原子力発電環境整備機構(NUMO)が会見で断言して3日後に「現金をもらった」と複数の大学生が証言した。あなた任せのNUMOらしい

▼高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分場候補地選定へ向けての意見交換会である。謝礼を約束した動員は委託したマーケティング企画会社の暴走で「公平性について不信感を招きかねない。管理不十分だった」と理事が会見で言ったのだが、管理不十分の底が知れない

▼参加者の〝やらせ〟〝仕込み〟では小泉内閣でのタウンミーティングが名高い。内閣府が教育委員会などに参加者の選別と質問を依頼して謝礼を払っていた。1回当たりの予算2200万円ほどで全174回。夢のような企画だった

▼意見交換会は処分場の調査対象になる可能性がある地域を示した「科学的特性マップ」の説明を全国で準次していく一環。下請けに出したのが内閣府との違いだが、各電力会社などからの寄せ集め所帯であるNUMOは、地下処分の候補地選考や啓発など、主業務を企画会社に委託してスマートに仕事を進めようとするのが特徴。管理不十分は起こるべくして起こった

▼支援約束の参加者動員は企画会社へ委託した4年前からだが、記録が残っていないから過去の業務について調査はしない、と言ったのが先の会見で、今回現金支払いが発覚すると「現時点で判断ではない」とニュアンスを変えた。越境入学問題に対する県教委の姿勢とよく似ていることが、取り上げた理由ではない。