伊勢新聞

2017年11月14日(火)

▼相手ディフェンスをかわした鮮やかな先取点と思ったら、翌日の新聞は「相手ミスをついて」。その程度の見る目でおこがましいが四中工はいわゆる相撲に勝って勝負に負けた気がした

▼全国高校サッカー選手権県大会決勝戦である。試合をリードしながら、わずかなスキをつかれ決勝点を与えた。三重高校に勝利の女神がほほ笑みかけたとしたら、二度にわたるゴールキーパーのスーパープレーだろう

▼逆をつかれたシュートに精いっぱい伸ばした右足が一度目はかろうじて、二度目は確実に当てた。その後四中工が実力通り戦ったとしたら、三重高校には実力を超えた力を発揮させたのではないか。高校スポーツにそんな流れはよくみる

▼テレビの実況で、選手紹介に出身クラブチーム名が出たのに驚いた。能・狂言は3―5歳からといわれる。競技スポーツもそういう時代に入ったということだろう

▼出身中学が出る高校野球は学校スポーツの名残をとどめているのかもしれないが、朝日新聞が五輪選手の国籍問題で、五輪憲章の精神から国別対抗意識の排除を説いていた。県別対抗意識で高校野球を国民スポーツに押し上げたのに―。我が身を棚上げし他を言う。そんな自分が励まされたようでありがたかった

▼中日新聞が最低賃金820円へのアップに対し、千円も可能みたいな社説を書いてネットで炎上していた。「(同社で)パートで働いたが、900円だった。まず自分のところで千円出せ」

▼大いに同情したが、棚上げして他を言うは、時に信頼を損ねると他山の石にもさせていただいて、ありがたかった。