伊勢新聞

2017年11月2日(木)

▼ネットで吸い寄せられるように集まった自殺志願などの男女9人が、待ち構えた乱暴、金品強奪目的の男にわずか2カ月間で次々殺害されたという

▼自殺サイトで知り合った男女7人が集団練炭自殺を図って世間を驚かせたのは平成16年。今はサイトは廃れてスマホで個別に連絡を取り合うSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の時代で、把握が困難になる一方、悪用が増えている。子どもの性的被害も増加しているそうだ

▼県では児童生徒のネット被害に県警サイバー犯罪対策課が警鐘を鳴らしてはいる。が、摘発は「出会い系サイト」でSNSではない。県教委がネット被害に関心を持ったのは学校裏サイトやわいせつサイトへのアクセスが社会問題になった7、8年前でフィルタリングソフトの導入など訴えておしまい

▼危険サイトの検出を専門機関に委託したことがある。伊賀の中学校で激増し、教諭が驚いて調べたら九州の同名の学校だったが、県教委が発表した数字を訂正した形跡はない。効果的対策などできるはずもないということだろう

▼県人権・同和教育研究大会でネットへの危機感が会長あいさつで指摘されるが、教育現場からの報告で取り上げられたことはない。反差別・人権研究所みえがSNS対策を進めるが、差別監視が中心

▼かつては警察、三重大、県、市町、県教委などをネット化する研究会を設け、児童生徒対策への情報交換を進めたが、財政難とそれぞれの縦割り構造で崩壊した。SNSの児童生徒への問題点は、いまのところ県各リーダーの指摘表明だけにとどまっている。