伊勢新聞

2017年10月27日(金)

▼鈴木英敬知事に続いて舟橋裕幸県議会議長も、県内の衆院議員減少に懸念を表明した。懸念は懸念として、車の両輪がぴたりと同調しているようで心強い

▼懸念の内容が、舟橋議長は「何らかの影響」と抽象的なのに対し、鈴木知事が「国の予算を活用するために国交省とのパイプが大事である中で残念」と具体的なのは、国交省出身の三ツ矢憲生議員の存在感がどうのということではないにしても、議決機関と執行部の違いということか

▼「県民の声」ではなく「県の声が届かなくなることを懸念」というのも、予算要望のことなのだろう。国会議員の役割を地元への利益誘導と信じ切っているようで、古い政治の体質を思い出す。変わらぬ体質、かな

▼かつて保守王国だった県で、田中県政時代は国家予算要望は国会議員頼みだった。県立三重大の国立移管では松阪肉を要所に配り、文教族だった藤波孝生と手を取り合って喜んだと言われる

▼次の田川県政でも松阪肉は変わらなかったが、自民党が距離を置いたこともあり、官僚とのパイプを構築した。旧大蔵省から総務部長を招く全国2県の1つとなったのもその1つ。旧建設省から副知事を受け入れ、公共事業予算の獲得を進めた。予算要望前には県関係の中央官僚を日比谷のレストランに招き、総決起大会まがいの行事も定着させた

▼北川、野呂県政とも国会議員経験のパイプを活用したが、国会議員依存をあからさまに口にすることはなかった。北川県政は地方からの提案を重視、野呂県政も基本的には踏襲した。鈴木県政で半世紀ぶりに元に戻った感がある。