▼豊田真由子前衆院議員の政策秘書への暴言・暴行問題について、ある議員秘書は「大問題」としつつも「はがきの宛先や道を間違えるなんて、あり得ない。後援会や支援者も裏切る行為だ」と興奮気味に語ったという。「うそ」が一番叱られたと、小沢一郎前衆議院の秘書を務めた石川知裕氏も著書『雑巾がけ』（新潮新書）で書いていた。結果的にうそになって、政治家や事務所の信頼が損なわれることだ
▼議員秘書にとって、仕える政治家が怖いのは普通のことなのだろう。石川氏も「怖い」と何度も書いている。「あれどうした」と突然、聞いてくる。「あれ」は政治問題から昨日修理に出したカメラのことまで幅広い。あれかこれか、用意した材料を小出しにしていく。当たっても褒め言葉はないが、何度も外すと「何だ」となる
▼秘書を「信用」し仕事を任せるが「信頼はしない」のが小沢事務所の政治家と秘書の「複雑な関係」らしい。「趣味は小沢一郎」と公言した大物秘書を切り捨てたのも、どちらがどちらを育てたかに微妙なずれができたため。いつぞやの偽メール事件は小沢氏は決して引っかからなかったろうという
▼偽メールとも知らずに自民党の選挙資金を追及し、逆に民主党執行部が総退陣した事件だが、取り仕切った松下政経塾出身の盟友、野田佳彦国対委員長との人間関係を壊したくなかったため、前原誠司代表（いずれも当時）は「絶対大丈夫か」「どこにどう確認したのか」と詰めることができなかったとみる
▼日本新党出身の小池百合子希望の党代表との間でもそうだったのかもしれぬ。