<衆院選・攻防の裏側⑤>幸福実現党 じわり浸透、期待も 地方議員は17人に

平成21年の結成以来、選挙に大量の候補者を擁立するも、ことごとく敗北を喫してきた幸福実現党だが、実はこの3年間で17人の地方議員を抱えるようになった。

26年8月の富山県小矢部市議選で公認候補が当選したのを皮切りに、その後も全国の地方選挙で相次いで当選。近隣では9月の岐阜県海津市議選で公認候補が当選したばかりだ。

「結党時は考えられなかった」と驚くのは三重県内の党関係者。「政策がじわりと浸透してきたのかも。県内でも公認候補が当選する日が来るのでは」と期待をのぞかせる。

一方、党の悲願とされる国政選挙での当選は皆無。7年前に現職の参院議員が入党したが、7カ月ほどで離党した。今回の衆院選でも、小選挙区と比例の双方で「苦戦」と伝えられる。

それでも陣営は臆することなく選挙戦に臨む。党県本部の幹部は情勢の厳しさを認めつつも、「今回の選挙は党の躍進に向けた環境が最も整っている」と期待さえ示す。背景にあるのは北朝鮮情勢の緊迫化だ。

幸福は政策の柱に国防強化を掲げる。結党のきっかけも北朝鮮のミサイル発射だった。党の幹部は四日市市内で開かれた事務所開所式で、「われわれが危惧していたことが現実になろうとしている」と声高に訴えた。

マスコミの露出度が徐々に高まっていることも期待の1つという。大手マスコミのほとんどは幸福が国政政党の要件を満たしていないことを理由に「諸派」と位置付け、他の政党と同様には取り上げていない。

ただ、最近の状況は少し異なる。一部の新聞社が今回の衆院選から、公示日の第一声や候補者の横顔などで、幸福を他の政党と同様に扱うようになったのだという。

「平等に掲載してほしいとマスコミに要望し続けてきたけど、結党時は相手にもされなかった」と振り返るのは党県本部の幹部。「他の政党と同じ土俵で戦えるようになりつつある。これからが本番だ」。