自民党の衆院議員だった豊田真由子氏(42)が、元政策秘書の男性に暴言や暴行をしたとされる問題。暴言の録音が連日にわたって報道され、世間に衝撃を与えた。その波紋が収まらない中で始まった今回の衆院選。三重県内でも秘書らが「先生のために」と必死で選挙活動に励んでいる。あえてこの時期を選んで議員の秘書らに聞いてみた。「おたくの先生、怖いですか」。(衆院選取材班)
この取材、実は困難を極めた。秘書にとって議員は絶対的な存在。ましてや報道に敏感になる選挙期間中だ。「選挙の情勢より言えない話」「オフレコでも無理」などと取材を拒む秘書が続出。「先生は優しい人です」とだけ意味深に語る秘書もあった。
さすがに殴る蹴るなどの暴行を受けたり、ミュージカル風にいびられたりしたという話はなかったが、取材を進めると「怒鳴られるようなことは日常茶飯事」「議員の奥さんも怖い」などと、秘書と議員の関係を巡るさまざまな話題が浮上した。
「罵詈(ばり)雑言を浴びせられて泣いていた秘書がいた。お茶を掛けられたこともあったと聞いた」と明かすのは元国会議員の周辺関係者。「それで事務所を引き締めているようだったけど、自分がこの秘書だったらやってられないな」と思いを巡らせる。
また、ある県議は「秘書がたびたび代わることで有名な国会議員がいた」と振り返る。「その国会議員は自分の親族を秘書にしていたけど、外から雇っていた秘書との待遇が明らかに違ったと聞く。多くの秘書が『いじめられた』と言って辞めていった」。
一方、秘書らの多くは豊田議員の問題について「秘書の方が問題だ」と考えているようだ。ある国会議員の秘書は「議員が殴るのは大問題」としつつも、「はがきの宛先や道を間違えるなんて、あり得ない。後援会や支援者も裏切る行為だ」と興奮気味に語った。
あるベテラン秘書は、議員とうまく付き合うコツとして「言いづらい話も、しっかり伝えること」を挙げる。「代議士も人間。間違いや勘違いもある。そのときに秘書がしっかり話せるかどうか。話して怒りを買っても結果的には分かってくれるはずだ」