伊勢新聞

2017年10月16日(月)

▼岡田克也元民進党代表が、同党の小川敏夫参院議員会長に「報道がちょっと気になります」と聞いたそうだ。その結果「(小川さんの意図とは)違う形で受け取られている」

▼「本意とは違う報道が出た。これからはノーコメントで通す」と答えたというのだ。どこがどう違うのか、岡田元代表は報道陣に説明しなかったらしい。自分の解釈が一人歩きしてはならないという用心か

▼が、翌日、小川会長はノーコメント発言など何のその。「存続する民進党を軸にリベラル再結集を、との私の発言が『民進党再結集』と意図せぬ解釈に」なったと自身のツイッターで釈明したのだから、まるで民進党だと言っては言い過ぎだが、応接にいとまなき変遷を地でいく

▼希望の党の失速は「寛容な保守改革」の看板が「排除の論理」で色あせたためだが、きっかけは前原誠司代表の「全員合流」だろう。はじかれた議員が出ても「想定内」で、交渉役の玄葉光一郎党総合選挙対策本部長代行は「政権を担う受け皿になるには党は左に寄りすぎた」。選別は既定路線の印象を強めた

▼小川発言もいかにも未熟だ。立憲民主党候補の応援で「民進党は不滅」などと言っては痛くない腹は探られよう。岡田元代表も、直接聞いたなどと言わず党と党の連携で選挙後野党を一つにする自身の主張と同じ趣旨だろうと解説した方がピンチをチャンスに変えられたのではないか

▼「人物本位」の応援がなぜ野党を一つにでき、政権奪取につながるか。斬新で高度な道筋を国民に分かりやすく語るのも、一極のリーダーで、代表経験者の責任だろう。