伊勢新聞

<衆院選・攻防の裏側②>自民「安倍一強」 熱狂とは程遠く 陣営危機感「参院選の二の舞に」

【街宣を終え次の会場へと向かう岸田政調会長(中央)ら=津駅東口で】

13日午前に津駅東口で行われた自民候補の街頭演説で、同党の岸田文雄政調会長が応援弁士に立った。15分ほど語った後、次の街宣場所へと向かうため、足早にロータリーを通り抜けて駅構内へと吸い込まれていった。

「ポスト安倍」の最右翼と目されている人物の登場だった。だが、拍手や掛け声もまばらで、決して熱気を帯びているとは言いがたい状況だった。興味津々で“敵情視察”に駆けつけた労組系関係者は「岸田さんの演説、たいしたことなかったなあ」と皮肉交じりに驚いて見せた。

「大変だ。全然盛り上がってない」。そう話すのは選挙区候補者の個人演説会などを取り仕切る自民県議。200人規模の会場が埋まっていない、と焦燥感を滲ませる。

折しも新聞社などの序盤調査で、「自公300議席超をうかがう」など安倍政権の堅調ぶりが報道された直後だった。「まるで実感がわかない」と別の陣営関係者。自民県議は「相当気を引き締めないと危険だ。このまま行けば参院選の二の舞になる」。

昨年夏の前回参院選で、自民三重県連は新人の女性候補を擁立。安倍政権は絶頂期を迎えており、世論調査も含め、感触は悪くないと伝えられていた。が、結果は中央で自公は圧勝するも、三重県内では野党共闘で共産らの支援を受けた民進現職に惜敗した。

自民県連幹部は自戒を込めて言う。「全国と三重は全く逆。ここはあくまでも『民進王国』ということを忘れてはならない」。

とはいえ、候補者の自民前職の多くは自前の強い後援会組織を持ち、業界団体の支援も厚い百戦錬磨ぞろい。

区割り変更で大がかりな国替えを行ったある陣営関係者は「実際戦ってみたら相手は平泳ぎしか知らない。(民進王国とは)要は岡田(克也)さんなんだよ」。

選挙はふたを開けるまで分からない。県連幹部は連日選対会議などで、「最後まで気を緩めるな」と精一杯ゲキを飛ばす日々だ。