伊勢新聞

大観小観 2017年10月14日(土)

▼ある日突然「有料動画の未納料金が発生しています。本日中にご連絡なき場合、法的手続きに移行します」というショートメールなどが届く。架空請求詐欺の幕が、それによって切って落とされる

▼本紙「まる見えリポート」が9日報じた振り込め詐欺の典型的な手口である。12日、桑名市の50代の女性の携帯電話にメールが届いた。有料動画のネタで引っかかるのは圧倒的に男性が多い。思い当たる節があるためだ。ぎくりとすると同時に、家族などに知られたくないと考える。連絡し、思うつぼにはまっていく

▼桑名市の女性が電話したのはなぜだろう。ぬれぎぬを晴らしたいという気持ちが持ち上がったか。女性からのそんな問い合わせも、詐欺師らは織り込み済み。誤操作の可能性で説得にかかったらしい。「支払いがあれば95%返金する」という説明を真に受け、まんまと10万円巻き上げられた

▼支払い方法は、コンビニ店からのコンビニ収納代行という。本紙リポートが伝えたのは、同じコンビニ店でも電子マネーだった。今や金融決済の最先端にコンビニ店が組み込まれている。ATMには「還付金はATMでは受けられません」などの画面が表示されている

▼地銀や有名企業系列とみられるさまざまなコンビニ収納代行サービス会社が、全国5万店のコンビニが自社の窓口機関になるとして、事業者を勧誘している。我が社こそは、顧客がいかに支払いやすい簡便な決済システムに知恵を絞っているかをアピールしている

▼警察などが「その支払いはちょっと待て!」と喚起しても追いつかない気がする。