伊勢新聞

2017年10月13日(金)

▼方針が何度ひっくり返っても東芝には変わらぬ信頼を続ける鈴木英敬知事が、アルミ製品の性能データ改ざんが発覚した神戸製鋼所には怒った。「『対応が極めて不誠実』と不快感」と本紙

▼飛行機にも使われている製品だ。「安全性に関わる重大な問題」なのは当然だが、知事の怒りの矛先は「連休中に発表しておいて、こちらが求めた情報を提供しない」こと

▼いなべ市の同社大安工場は、データ改ざんがあっても「適切に品質検査して、工場の操業は止まっていないと聞いた」と、安全性は担保されていると受け止めているかの発言。怒りは情報開示の乏しさで「本社一括対応という体制で情報が入ってこない」ことだろう

▼東洋ゴム工業の免震ゴムデータ改ざんでも「不誠実」だと怒ったが、最も激しく非難したのは担当者の説明のあいまいさで、とりわけメディアで早くから取り上げられている施設の自治体に対してはかなり詳しい内容を事前に説明していることだった。レベルの低い担当者が説明にきた疑いもあるとして「不誠実で最悪。ふざけんなよです」

▼思えば東芝は副社長で半導体部門の実力者、東芝メモリの成毛康雄社長が説明にきている。下にも置かぬ誠意がにじみ出ている。明日の行方は知れずとも「安心した」というコメントを増発したくなるのもよく分かる

▼第三、三重両銀行の経営統合は名古屋で発表された。知事に詳しい報告があったかどうか。「取り組みの前進を評価」「サービス充実に期待」「県内資金需要にきめ細かな対応を」。冷静、的確なコメント。むろん不快感など感じない。