▼衆院選が公示され、22日の投開票に向けて、選挙戦がスタートした。安倍晋三首相の狙いすましたような「大義なき解散」で幕を開けたが、前原誠司民進党代表の希望の党合流の奇手で、選挙の話題は野党が独占。主役に躍り出た希望の党の勢いはやや色あせたが、非自民の動向が選挙、選挙後を通じて政局の中心になる予感をかき立てる
▼全国的には三極対決というが、県では「無所属・共産」対「自民・公明」が最大の焦点。民進党が三分裂する中で、岡田克也元代表を中心に「無所属議員ネットワーク」を発足させた。約20人が結集するとされるが、希望、立憲民主党候補者でも「人物本位で支援する」という岡田元代表発言とも相まって選挙後の主導権をうかがっていくとみられる
▼かつて「バカヤロー解散(昭和28年)」「死んだふり解散(同61年)」があった。大義なき解散は今回ばかりではない。55年体制崩壊で下野した自民党は社会党と組んで政権に復活した。新進党解党も、小沢一郎氏の純化策と言われた。小泉純一郎氏の郵政選挙も、郵政民営化の踏み絵を踏ませた。排除の論理も繰り返されている
▼自民党の分裂が中心だった平成五年前後の新党ブームを体験した北川正恭元知事は「90%以上考え方は同じで違いは数%」と言った。「その数%で分裂してしまうのです」
▼希望と民進の合流は憲法や安保関連法も数%のうちだったかと思わせるが、だとすれば党利党略、離合集散は政党のならいとして、過去そうであったように、国民主権の建前を尊重する政権であってほしいと思う。