伊勢新聞

<まる見えリポート>衆院解散、総選挙 民進「瀬戸際」希望巡り大波乱 自民は公明と協力着々 三重

【街宣で候補予定者らの演説を聴く支持者ら=津駅東口で】

衆院が解散し、事実上の選挙戦に突入した。本来、各選挙区の候補者ががっぷり組んで舌戦を繰り広げるところだが、民進党の行く末が定まっていない。小池百合子東京都知事の新党「希望の党」との合流を巡り、公認が得られるかどうか不透明な情勢となっている。前原誠司代表らが民進の希望者全員の公認を、希望側と交渉しているとされ、三重県内の立候補予定者も「その結果待ち」(民進党県連幹部)とするが、リベラル新党結成など新たな動きも加わり、先行きは見通せていない。とはいえ、公示まであと1週間。「2日までに決めないと準備が間に合わない」と陣営関係者から悲鳴も上がる。雌雄を決する大一番を前に、野党第一党が瀬戸際に追い込まれている。

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29日午前、県内の民進党立候補予定者の事務所に離党届と希望の党への公認申請書のファックスが流れてきた。その1時間後、「すべて破棄してください」との通知が。異変の始まりだった。

民進党は28日の両院議員総会で、希望の党との合流を決定。立候補予定者全員が希望の公認候補として出馬するとの内容だった。

「あの岡田(克也)さんだって、両院総会で拍手していたんだから」と県内の党関係者。「看板掛け替え」と非難されようとも、「名を捨てて実を取る」と、全員希望の党から出馬するはずだった。

ところが、小池知事が憲法や安保法制の姿勢で公認候補を「選別」するとの情報が流れ、排除される可能性のある候補者も実名で取りざたされるようになった。

「話が違う。前提が変わってしまった」(陣営関係者)。「選別」されるのかされないのか。具体的な中身も分からない。すでに希望からの出馬で準備を進めようとしていた候補予定者らも、態度を保留せざる得なくなった。

30日の民進党全国幹事長・選対担当者会議では、前原代表からなお、当初の予定通り希望の党から公認出馬できるよう交渉しているとの報告があった。

出席した県連幹部は「デマや憶測もかなり流れている」としつつ、「すでに合流しないと表明している人は別だが、全員が公認を受けられるよう、信じて待つしかない」と話す。

ただ、交渉が決裂し、公認を得られず宙に浮いてしまったらどうなるのか。比例救済のない無所属ではなく、何らかの党公認で出馬し、比例名簿に搭載されることが各候補予定者の生命線でもある。

県連では「交渉決裂となった場合、身の振り方は各候補者にゆだねられる」とした上で、「どこから出ようとも、連合と新政みえは応援する」としている。

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一方の自民。1区では1日、津駅東口であった公明党の街頭演説会に小選挙区の自民党候補予定者が参加し、両党の蜜月ぶりをアピールした。

引退したとはいえ、県内では抜群の知名度を誇る公明党特別顧問の坂口力元厚労相が登壇。「小池さんはどちらかというと好きな人」と持ち上げて見せつつ、「民進党は、新しい小池というおうちの軒先を借り、母屋を乗っ取る魂胆」と切って捨て、聴衆から拍手を浴びた。

希望の党について、自民候補予定者は「まだ分からない」と影響を図りかねている様子。

自民県連幹部は「相手候補が何党で出るのかいまだ不明」と冷ややかに見つつ、希望の党には「トランプ大統領が当選したように、小池新党への国民支持が高まる恐れもある」と警戒心を隠さない。民進党がもたついている間に、着々と地固めしたい構えだ。