伊勢新聞

2017年9月29日(金)

▼痛いところを突かれると過敏に反応してしまうものに違いない。小池百合子東京都知事に「全国知事会のほとんどは霞が関出身。中央集権を促進する」と言われ、親交を誇る鈴木英敬知事も「フフフ、はや選挙モード。小池劇場全開ですかね」とは言えなかった

▼「十把ひとからげにされるのは、やや心外」と言った。「私が」という主語が省かれているのだろう。「感覚の鋭い小池知事だからそう感じたこともあったのだろう」(鈴木知事)が、私まで一緒にされては迷惑という気持ちが透けて見える

▼知事会の要請で文科省が東京23区の私立大学で定員増を認めないことにしたのが小池発言の背景とか。「育てた学生を引き抜かれる地方の思いが少しはお分かりいただけたか」と言えば、中央集権にあらがう地方の長としての面目も十分だったが「霞が関出身でも地方分権や地方創生に頑張る知事が大半」。言い訳がましくはある

▼東京の小新聞にいて旧大蔵省のキャリア官僚の横柄さに手を焼いたので、県総務部長に出向してくる同省キャリア官僚の腰の低さに驚きあきれた。立場変わればどちらでも、がキャリア官僚の〝能力〟で、県職員でも異動した途端、全く別の歌を歌い出すのは珍しくない

▼衆院選で、知事は特定候補を応援した参院選と「同じ行動を取ることはない」。参院選は「サミットとかリニアとかの事情の中で政治家として判断。現時点でそういう特殊な事情はない」

▼「ぎりぎりの状況では本質を隠しおおせない」と言ったのは岡田克也元民進党代表。ぎりぎりの状況までは隠しおおせるのである。