大観小観 2017年9月28日(木)

▼記者団に解散の呼び名を聞かれて鈴木英敬知事が「まだ会見を聞いていないので命名しづらい。そういうの好きなんですが」。その翌日に「路線確認解散」。「考えたけど良いのが思い浮かばなかった」と続けた

▼下手の横好きということだろう。昨年の予算は「緊褌一番予算」だったか。女性活躍を言いながら、ふんどしを持ち出す感覚にあ然とした。働き方改革が言われる今年は「奮励努力予算」。会社への忠誠心や出世のために家庭や家族を顧みない、モーレツ社員へと駆り立てた言葉だ

▼建前は女性活躍、働き方改革だが、知事の本音は緊褌一番であり、奮励努力、ということではあるまいから、下手の横好きに責任を負わせるのだが、「路線確認解散」は、その説に根拠を与えるのではないか

▼「選挙では何かの路線を確認することは当たり前なので」と、自身も認めている。どんな選挙でも共通する命名は、今回の選挙の特徴でも何でもない。命名の意味がないということである

▼もっとも、だから解散の特徴を何よりも雄弁に物語っているとは言えるかもしれない。「当たり前解散では」と問われて「ちょっと考えたけど、やや変に捉えられるといけないのでやめておく」。「北朝鮮情勢が逼迫する前にということがあったのだと思う」とした解散への理解が崩れかねないということだろう

▼「印象や大義がないわけではない」と言い訳めいた言葉を付け加えざるをえない解散だということである。といって「国難」だ「突破」だとも言えない。知事の正直さがにじみ出ている呼び名とはいえるのかもしれない。