伊勢新聞

2017年9月25日(月)

▼県教育委員会事務局内に「学力向上緊急対策チーム」が設置されて丸二年。五回目の会議を開き、粛々と三年目に突入していくようだ。全国学力テストの全国平均を下回って、色あせた「緊急」の文字がよみがえる感もあるが、三年間も「緊急」が肩にのしかかる現場というのは、教育に限らずなかなか大変だろうと同情した

▼一~四回の会議はどうだったか。県のホームページには今回と三回目の開催通知しかなかった。昨年度のまとめサイトも、七回のうち六回目は抜けている。同情するほどのことはないのかもしれない

▼名称からも短期成果が求められるのであろう。正答率が低かった小学校を指導主事が狙い撃ちして、授業の改善を求める。対象は、来年学力テストを受ける五年生学級担任教諭というから申し分のない即成狙いではある

▼もっとも13日の県総合教育会議では「長いスパンでみれば改善傾向にあるので、結果に一喜一憂すことなく」と県教委。緊急対策チームの会議で、下半期は「具体的な改善につながるようにしたい」と木平芳定副教育長がハッパをかけたのは、本音と建前ということか

▼P(計画)D(実行)C(点検・評価)A(改善・処置)の徹底が総合教育会議で確認されてもいる。企業の工程管理の理論を教育現場に導入する試みで、企業に比べ教諭の甘さが指摘されている。工学的手法を資産運用に導入した金融工学理論を連想する。ノーベル賞受賞者を出した半面、リーマンショックを生み出した

▼PDCAサイクル論はどうか。実験素材となる子どもたち次第ということだろう。