伊勢新聞

<まる見えリポート>中学テニス、海星が全国初V ダブルス強化実る

【ポーチボレーの練習に取り組む海星中の生徒ら=四日市市追分の同校で】

8月に沖縄県で開かれた全国中学生テニス選手権大会(日本テニス協会など主催)男子団体でエスコラピオス学園海星中(三重県四日市市)が初優勝した。全国レベルの大会で実績のある部員の存在に加え、団体戦、ダブルスに力を入れた練習、県中学校テニス連盟を中心とした中学世代の普及強化の取り組みが実を結び、44回を数える大会で県勢として初優勝を果たした。

(二反田恭子)

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海星中の快進撃は第2シードを破った準々決勝から始まった。2ダブルス3シングルスのうち、伊藤詞童君、門脇直也君の2年生ダブルス、石川瑛大君、永井健太君の3年生シングルスで勝ち星を奪い、土浦第二中(茨城)を3―2で下して、3月の全国選抜を上回るベスト4進出を決めた。

準決勝では石川君、永井君のシングルスに加え、伊藤君と1年生の眞田将吾君のダブルスで勝利し、3ー2で同じ四日市市の常磐中に勝利。今春の全国選抜を制した甲南中(兵庫)を下した決勝は、石川、永井、眞田君のシングルスで勝利を収め全国の頂点に立った。

中1から全国大会を経験してきた永井君、石川君の両エースに、今年の全国選抜、全日本ジュニア12歳以下シングルス優勝の大型ルーキー眞田君の加入。それに加えて、テニス部顧問の長野耕治教諭が躍進の要因に挙げるのがダブルスの強化だ。約10年前から部活動の時間の8、9割をダブルスのための練習に当ててきたという。

コンビネーションを鍛えれば中学からテニスを始めた部員もダブルスで勝負でき、テニスクラブ育ちの部員にも効果があるという。小4から通うテニスクラブではシングルスの練習が多い伊藤君は「(学校の練習で)ボレーがうまくなった」、門脇君は「前衛の動きが見えるようになった」。

石川君は「ダブルスで点が取れるようになってチームの雰囲気が変わった」と話す。「春全国ベスト8で終わり、選手らは夏の優勝目指してやって来た」と語る長野教諭は、「(全国中学生選手権で)優勝を決めた瞬間、私自身信じられない気持ちでいましたが、選手らは純粋に喜んでいました」と子どもたちの成長を実感する。


全国中学生選手権の準決勝では常磐中の県勢対決が実現した。公式戦や練習試合を通じて良く知る相手。永井君は常磐との対戦を振り返り、「楽しかった。知ってる相手と全国で試合やるなんて」と声を弾ませる。

海星が県勢初の全国優勝を遂げるとともに、ベスト4に県勢2校が入って喜ぶのは県中学校テニス連盟の中川和也理事長だ。県テニス協会傘下の同連盟は長期間中学世代の普及強化に力を入れてきた。

中学生が参加できる大会を増やしたいと1995年に県中学校体育連盟に加盟。2007年から全国大会の常連校などを呼ぶ県中学校招待大会を始めた。当初年1回、現在は5月と12月の年2回。

県内大会で周囲への感謝を伝えるチャンピオンズスピーチの時間を盛り込んだり、フェアプレーを学ぶ講習会を開くなどテニスを通じた人間教育にも力を入れる。2012年の第39回全国中学生選手権で富洲原、菰野の県内公立中2校がそろって全国大会出場を果たす快挙を実現した。

「選手たちも頑張ったし、こつこつやって来たことが実を結んだ」と話す中川理事長は、「今後も継続して取り組んでいきたい。選手の数が増えれば全体のレベルも上がるので中学の部活動を増やしていきたい」。「県の中学生テニスはここ10年から5年、とてもレベルが上がった」と話す海星中の長野教諭は、「また全国行けるように、まずは県予選を勝ち上がりたい」と気を引き締めている。