伊勢新聞

2017年9月23日(日)

▼「県幹部職員公舎」の建設や供用開始を報道機関に公表しなかったのは「県民に直接は関係がなかったため」(県管財課)。「カネは出しても口は出さない」のがいいオーナー(=県民)ということかもしれないが、出せない仕組みをつくっているのが、県議会議案質疑で取り上げられた非常勤職員の問題だろう

▼県の非常勤職員の育児休業期間を引き上げる条例改正案が提出されたようだが、「少子化対策の一環」に位置づけられていながらこれまであまり説明を聞かなかったのは、県民に直接関係ないせいか

▼議会からは県教職員組合出身の杉本熊野議員が、教育現場にも広げるよう要請。学校の講師などは育児休業を取得できない「臨時的任用職員」が多いのだという。答弁した鈴木英敬知事は「少子化対策にホームランはなく、ヒットやバント、犠牲フライを積み重ねてできるところからやっていく姿勢が大事」

▼何を言い合っているか、大方の県民とともにさっぱり分からない。地方自治体の非常勤職員は、緊急や臨時の場合に採用される臨時職員のほか、特別職規定の援用や一般職非常勤職員などに大別され細分化し、基準法も異なる。手当も付いたり付かられなかったり。年末年始手当の不支給で賠償命令が出た日本郵政も官営時代を引きずっていたからに違いない

▼教育現場も、育児休業が取得できる講師もいればできない講師もいるらしい。犠牲フライだバントだなどと言わず、一気に採用時の都合でばらばらの非常勤の身分を整理し差別の二重、三重構造を解消しなければ非正規社員の指導などできまい。