伊勢新聞

2017年9月22日(金)

▼四日市市で先月、6歳の女児が車内から死体で発見された事件。ペルー国籍で母親の内縁の夫が傷害致死の疑いで再逮捕された。先の死体遺棄容疑は「処分保留、釈放」とある。物理的に解き放されてはいまいが、再逮捕で取り調べ期間を長期化させる〝人質司法〟の手続きも手が込んでいるということか

▼8月の発覚直後、内縁の夫は「娘を殴ったら動かなくなった」「しつけ」などと供述している。虐待死は歴然と感じられたが、黙秘をしているという。慎重に取り調べているということだろうが、分からないのは鈴木英敬知事である

▼児童福祉・いじめ対策が目的のカナダ訪問から帰国した12日の記者会見で、児童虐待事案への関係者総掛かりの体制が大変参考になったと報告。弁護士や警察との共同面接など、関係者と連携した県の児童相談センター体制にも胸も張ったが、この虐待死疑いの事案には全く触れない

▼昨年度国家予算編成では、24年の桑名、四日市両市の乳児虐待死を踏まえて国の対策を要望。事あるごとに両事件を口にしてきたのだから、異様な気がした、外国人のようでもあり、今回はまあいいじゃないかということか

▼6歳は義務教育年齢であり、姉は児童相談所に保護されているともいう。5年前の四日市市の虐待死事例検証委員会は関係機関が役割分担に安住し、それ以外は関心を持たない、関与しない方がいいと判断していたことが最悪の結果を招いたとしている

▼知事も県民、日本人以外にはそうだと言わないが、関係機関が指摘された問題点は少しは改善されていたのだろうか。