2017年8月26日(土)

▼県立高三年女子からのいじめ訴訟に対して「学校はきちんと対応した」と争うことを報告する廣田恵子教育長は、報道写真の印象だが、輝いて見えた。行政出身として手腕を発揮できるという意気込みがにじみ出ているのかもしれない

▼三日前に「メディアや県民に説明すべきことは説明するという姿勢で」と県教委に注文した鈴木英敬知事が、応訴を受けて「県教委は丁寧に誠実に謙虚に対応して」。「説明」の言葉が消えた。「説明を控える」と言い続けた教育長だが、裁判中を名目に大っぴらに沈黙を守ることができる

▼裁判は勝敗がすべて。県教委が弁護士の助言を受けて、組織を上げて自分らの有利な証拠、すなわち相手側の不利な証拠を収集して提出するのは自明の理。公費で仕事として取り組む行政を相手に、被害者側が敗訴するのが圧倒的で、いじめ解明を闇に葬る結果になっている

▼山口千代己前教育長が自身の娘について「いじめを受けていたことに気づかなったのは忸怩たる思い」と語っていた。高一の時は「いじめではない」と判断し、高二の事案は高一との「因果関係はない」とし、高3月に「いじめ重大事態」に認定した学校が「対応に問題なかった」と言えるかどうか

▼いじめを受けた場合の最終的解決法は転校しかないのは教職員らも認めていた。語っていた。被害児童の「心身の苦痛」を「いじめ」と定義したいじめ防止対策推進法制定でようやく正攻法で解決する方法ができたと思ったが、法を運用するのが越境入学問題の徹底解明にフタをした県教委では、実用化はほど遠いようだ。