▼俗に「政官学」という。地方で「官」と言えばトップの意向をどう施策に反映させるかの手腕を問われ、「学」は施策の理論づけが求められる。では「政」は何か。その回答の一つが知事と津市長の「一対一対談」だろう
▼前日の県立一志病院を巡る第二回検討会で「学」の竹村洋典・三重大教授が県と津市を痛烈に批判した。運営参画に難色を示している津市に「こんなに嫌がっている人たちとは絶対一緒にやりたくない」。返す刀で県には「言うべきことを言う権限を持っている人が言わない」
▼県と市町村が「上下」から「対等」の関係。権限が何を指すかは不明確だし、市民病院を持たないために救急車のたらい回しなどが問題となった津市にしても、過疎地への過大な投資となるとまた別だが、筋論として反対しにくいお題目ではあり、医師の人事権を握る三重大医学部の熱血教授に反論して得なことは何もない
▼津市の副市長は「我々が何をやっていかないといけないかをご提言いただきたい」と低姿勢に徹し、県病院事業庁長は「今回は結論を出すことはできないが、第三回はしっかり議論させていただく」。一年分しかない一志病院の経営計画をまず継ぎ足してからということだろう
▼で「一対一対談」である。鈴木英敬知事が公営移譲を議会で表明した翌日、前葉泰幸津市長は経営参加を「筋違い」と一蹴した一志病院問題は議題にも載せなかった。海岸堤防などの整備で一致。まず一致点を優先し、対立点は事務レベルで調整してからが「政」ということだろう。腹の中は煮えくりかえっていたとしても。