伊勢新聞

2017年8月21日(月)

▼名張市教委が三小学校と一中学校を統合する計画を一転、当面単独校で存続させることにしたというのには驚いた

▼統合計画が白紙になった例がないわけではない。四日市市が住民の反対で撤回したが、児童生徒減少に伴い過剰になった学校施設を有効活用するため、校区やりくりするというゲリマンダーみたいな案だった

▼名張市の場合は、小中併設の義務教育学校設立も視野に入れた小中一貫教育が目的でゆくゆく全市に広げる。まず児童生徒数減、人口減が予想される桔梗が丘中学校区で、というもの

▼「九年間の一貫したカリキュラムのもとで系統性、連続性のある指導を行う」(上島和久教育長)構想。批判に対しても「基本は踏襲しながら柔軟に」(同)と言い続けてきた

▼小中一貫教育と統廃合は分けて考えるべきだという指摘に「一緒の観点ではない」としながらも「全く無関係ということにはできない」とも言ったりするから住民の懸念は消えない。小五、六年が中学校校舎に通うという「指導上の工夫」(同)も、本当に一貫教育のためかという疑問を生じさせる

▼今回計画を見直したのは保護者、住民だけでなく教職員まで「統合の必要性を感じない」の意見が多かったからという。予想より児童生徒数の減少がゆるやかで一部増加も見込まれるのも理由ともいう。市教委不信を増幅させぬか

▼おかげで統廃合予定の学校まで話し合いが進まず先送りに。今後は統廃合は統廃合で、小中一貫教育は全市で分離型で進めて、一体型は児童数の推移を見て進めるという。急がば回れを実感したのかもしれぬ。