伊勢新聞

2017年7月14日(金)

▼東京都議選惨敗のを受けて低下した求心力の回復を期して安倍晋三首相は内閣改造に踏み切り、民進党の蓮舫代表は「二重国籍」問題の決着を目指し戸籍を公表するということか。出自を巡る日本国内の差別的視線を物語る

▼「エリート進学校」勤務という55歳の市川市の教員が雑誌『世界』の投書欄に書いていた。生徒が交換留学生に「二重国籍」とあだ名をつけた。受け狙いで悪意はなく、在日朝鮮人の歴史、人権問題に授業の大半を費やすことになったそうだ。博物館への社会見学で、説明してくれる係員(学芸員)に「この人たちはガンだから」とあっけらかんと言い放った生徒がいて平謝りしたが「よく言われるんです」と逆に慰められたという

▼福島原発事故避難児童への「放射能がつくから近づくな」の発言も、発端は政治家の言葉だった。文部科学省がまとめた199件の中にもこの発言はある。政治家はせめて子どもに悪い手本を示さないでと、先の教師は言っている

▼南相馬市から川崎市に避難した34歳の建築関係者の投書もある。大柄な妹が学校で「ゴジラ」とあだ名をつけられて引きこもりとなり4月現在、社会復帰ができないでいるという。放射性廃棄物によって誕生した設定の映画が原点のことは間違いない。昨年大ヒットした『シン・ゴジラ』も悲劇を招いているかもしれない

▼県はいじめ防止の条例を制定する予定。「子ども目線で制定」し「いじめは絶対に許さない」「大人が子どもを守る」とのメッセージを打ち出すと鈴木英敬知事。相手も、いじめの背後にいる大人である。