任期満了(31日)に伴う松阪市議会議員選挙(定数二八)は16日告示、23日投開票される。現職19人、新人13人の計32人が立候補を準備し、下位接戦の見込み。衆院小選挙区の新区割りでの戦いに向けた布陣となる自民、民進両党推薦候補や、山中光茂前市長支持の流れをくむ候補、旧飯南・飯高町の地域代表の確保が注視される。
(松阪紀勢総局長・奥山隆也)
一市四町が平成17年1月に合併し、25年の改選時に定数を30人から28人に減らして現在に至っている。山中前市長の任期途中の辞職に伴う市長選に併せて27年10月、市議補選を実施している。
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立候補予定者32人の旧市町別内訳は、松阪25人▽嬉野四人▽三雲二人▽飯南一人▽飯高〇人。水谷晴夫氏が勇退する旧飯高町は誰も立候補する予定がなく、このままでは議員空白地域になってしまう。
市議会が設置した第三者機関「議員定数のあり方調査会」(会長・駒林良則立命館大学教授、四人)は、「合併された旧町域からも議員が選出されることが望ましい」「(定数を)現行より削減した場合にはそうした旧町域からの選出が困難になる」として28年10月、西村友志議長に現行定数が「妥当」とする意見書を提出した。
同調査会の提言を受け、市議会は現在の定数の維持を決めたが、議席数を配慮しても立候補がなければ地域の代表を送れない。
現行定数での議員一人当たり人口約6千人に対し、旧飯高町の人口は約4千人にとどまる。西村議長は任期最後の定例会後の記者懇談で改選を果たしたなら、「議会改革特別委員会で飯南飯高について全議員が勉強していく場をつくる提案をしたい」と話していた。
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自民党推薦は三人。現職の沖和哉、米倉芳周両氏に加え、新人として県連事務局にいた赤塚かおり氏が出る。
民進党は4区総支部事務局長の今村英靖氏が出馬。二年前の市議補選で最下位だった橘大介氏が同党推薦で再挑戦する。党組織の再生を目指す。
中島清晴元議長ら旧民主党員だった四議員は26年、中島氏の県議選へのくら替え出馬が県連に白紙化されて反発し、一斉に離党。会派名を「民主市民クラブ」から「市民クラブ」に変えた。混乱の責任を取って4区総支部長の森本哲生元衆院議員が支部長を辞任し、前回衆院選では候補者の擁立を見送る事態に陥った。離党四人のうち中島氏を除き三人が引退する。
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山中前市長は26年12月、図書館改修関連議案が市議会で再否決された直後、突然辞職を表明したが、実行せず迷走。当時議長の水谷氏は「政策的な審議を中断させるかのような短絡的な辞職発言」と冷ややかだった。山中氏支持者らが市議会解散請求(リコール)を始めたが、署名が有権者の三分の一に届かず不成立に終わり、追い込まれた山中前市長は水谷議長に辞表を出した。
山中前市長は任期半ばで市政を投げ出し、辞職しなければ実施せずに済んだ市長選と市議補選の費用1億円弱を市民の税金から支出させて27年9月に辞めていった。
リコール運動のメンバーらは市長選に山中氏後継の元市職員を擁立し、市議補選に西口真理氏や田中正浩氏ら三氏を擁立。同10月の市議補選は欠員三人に対し、新人八人が立候補。西口氏がトップ当選を果たし、新会派「グループ皐」(海住恒幸代表、三人)を結成した。
落選した田中氏は再び挑み、雪辱を期す。山中前市長を支援したNPO「松阪成長戦略研究会」の天野雅仁代表は定数削減の信条から補選での立候補は見送ったが、今回立つ。