2017年6月29日(木)

▼平成25年度全国最低だった障害者雇用率の向上に本腰を入れ始めたころ「障害者を労働力とは思わない」と語った鈴木英敬知事だが、障害者が農業の担い手となる「農福連携」を県が23年度から取り組んでいたという

▼来月開く「農福連携全国都道府県ネットワーク」の設立総会で発起人代表になる。記者会見で、農福連携の意義を「農業の担い手確保や障害者の働く場の確保につながる」と説明し「都道府県の連携が重要。連携を強め、農林水産業の活性化や障害を持つ方の社会参画を進めたい」

▼障害者を労働力と認めた上での話だろう。障害者雇用率向上に農業の担い手などは言わなかったのだから別人の思いはあるが、知事の意気込みに異論はない。16日の県議会で「もうかる農業とは」と問われ「農業者の所得向上や収益力の高い農業だけでなく、農村地域で生み出す価値の向上が県内各地で積極的に展開されている状況を指す」と答えていた

▼所得向上や収益力だけでは心に若干のひっかかりでもあったか。生活として農業を営む兼業農家中心の県の農業が、専業農家や法人経営が軸となりそうな「もうかる農業」で守られるわけではない

▼販路拡大に加え「消費者へのアプローチにも取り組みたい」とも。北川正恭元知事がそう言って、農林水産部と商工部門を統合し、国の大反対を受けて退任後、旧に戻した。農林水産部担い手支援課の経営体支援班の中に農地の集積、企業の参入、経営構造対策、高性能農業機械など16の職掌の一つとして農福連携担当者を置く。狙いは透けて見える気はする。