伊勢新聞

2017年6月26日(月)

▼県の志摩庁舎のスペース貸しに応募どころか問い合わせもなかったのは意外だった。応募がなかった原因を調べて再公募するというのはもっと意外。不動産業者のまね事をするということらしいが、県が権限や特権なしに営利行為をして成功した記憶がない

▼県営鈴鹿スポーツガーデンの命名権(ネーミングライツ)を取得した三重交通に、応募した動機を聞いたことがある。担当は違うが、とある役員。「行政の公募に私どもから応募することはありません。何らかの打診があって検討するということで」

▼20年前の世界祝祭博覧会で、入場券を県関係団体や登録業者などに割り振って問題になった。伊勢志摩サミットの寄付金も、前副知事がらつ腕を振るった。成功の陰に〝権力〟ありで、観光頼りの志摩市で、特に魅力もない庁舎を貸し付け期間3年、利用方法や賃料は「プロポーザル方式で」などと高飛車で公募したのだから、てっきり押しつける当てがあるのかと思っていたが、ゲスの勘ぐりか

▼志摩庁舎は、公用、公共用に供する行政財産。目的外使用は原則禁止。目的を妨げない範囲で許可できるが、私権は制限され、借地借家法の適用なし。損失補償は求められない。何を好きこのんでというのが民間人の普通の常識だろう

▼歩道橋のネーミングライツ公募も始まったが、イメージ写真の何という魅力のなさ。愛称に「歩道橋」の文字を加える条件は、言葉の意味を知らないのではないかという気になる。目的が「多様な財源確保策」。「ユニークな発想やアイデアで、地域貢献」は桑名市。見習いたい。