伊勢新聞

2017年6月20日(火)

▼「(PTAらが安全対策を)やってもらえるならば続けてほしいが、できないなら任せるわけにはいかない」と、夏休み恒例の小学校プール開放という市主催事業を中止する(本紙『まる見えリポート』)。さすが野菜価格が高騰したからと給食を中止した鈴鹿市だと感じ入った

▼市が主催する以上、事業には「主催理由」や「意義」というものがあるに違いない。「PTAらで組織するプール開放運営委員会」は、市から委託を受けて運営をしている団体にすぎない。その団体に安全対策上の問題があるとして、児童、保護者が「楽しみにしている」事業そのものをやめてしまうというのだ。給食の意義そっちのけで野菜高騰を理由に中止したこととそっくりという気がしたのである

▼「いつの間にか当たり前の年中行事の一つになり、安全対策への意識が薄れてしまったことも要因」と、市文化スポーツ部副参事がまるで人ごとのよう。逆に委託を受けているにすぎない小学校のPTA執行部は自ら保護者にアンケート調査し「資格を持つ委託業者に監視を依頼する案を考えたが、PTAの予算では無理だった」

▼公共事業の再委託禁止は一般的だが、こちらはまるで自分の事業のよう。PTAの〝寄付行為〟なしに小学校の運営はできないといわれて久しいが、これもまた委託とは名ばかりでPTAに依存しているのだろう

▼安全教育など、市の指導義務など思いもよらず。中止判断した保護者らに対し「子どもたちの安全確保への保護者の意識を見直すきっかけになれば」。見直さなければならないのは保護者だけか。