2017年6月6日(火)

▼谷口友見大紀町長の咆哮(ほうこう)を久々に聞いた。自民党県連の定期大会で、現行条例より定数を増やした県議会の見直し案にかみついた。「県も金がない。人口減ですから、もっと議員も減らしてもらわんと」

▼来賓あいさつで、である。民進党系会派「新政みえ」の議員を列挙し「半年前にクレームをつけた」。返す刀で出席者の奥野英介県議を見ながら「何千万ともうとんやろ、あんたら」。奥野県議は首を横に振ったが、数字にめっぽう強く、県議報酬など頭に刻み込んでの話だろう

▼かつて自分を紀州犬になぞらえていた。旧紀勢町長選で地元の財力ある名士二人との三つどもえ戦となり「なりは細かくても紀州犬だ」と自らを奮い立たせていた。「義理と人情とやせ我慢」も、当時の自称

▼有権者二千人強の小さな自治体だったので選挙に買収のうわさは毎回付きもので、相手陣営の情報が入るたびに「わしは町選管を指揮する町長だ。誤解を招くまねはできん」と言っていた。結果は落選だった

▼全国町村会会報誌に「古希のひとり言」とエッセーを書いている。財政面では県最下位だが周辺もどっこいどっこい。「旧町当時から貧乏所帯には慣れた仲間たち」で「元気だけが取柄の猛者揃(ぞろ)い」

▼やせ我慢に変わりはないようだ。浮沈を繰り返し旧町で四期、大紀町になって三期目。苦言は何もかも承知の上でだろうが、講演した竹下亘国対委員長は区割り案に「選挙区が減るということはものすごく厳しいこと」。本部での決着論も出る候補者調整だが、こちらも視野に入れてのことだったかもしれない。