伊勢新聞

<まる見えリポート>「道の駅津かわげ」開設1年 地域密着型が好評

【オープン後1年がたった「道の駅津かわげ」=津市河芸町三行で】

国道23号中勢バイパスと国道306号が交わる津市河芸町三行に「道の駅津かわげ」がオープンして四月末で一年が過ぎた。市内では美杉に続いて二つ目の道の駅で、合併後に取り組んだ施設としては初めて。「海のもの 山のもの 津のもの すべてそろう かわげの丘」をコンセプトに開業。「まず地域の方に利用してもらいたい」(津市)と地域密着型にこだわり、好評を得ている。現状と今後の展望を探った。

(津市政・森川静香)

 

駅の建設構想は平成十五年、旧河芸町で持ち上がったが、合併後も長期間進捗(しんちょく)がなかった。本格的に動き出したのは前葉泰幸市長が就任してから一年が過ぎた二十四年六月。中勢バイパスの市内分の整備にめどが付き、道路沿いの活用方針を検討する中で市が決断した。

事業費は市整備分で三億三千七百八十七万円。国費もほぼ同額投入され、駐車場やトイレは国が整備した。

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現在、農産物を出荷する生産者は百三十五人、名産品業者は二百五十社。駅内には地元産の野菜や魚介類、加工食品など約三千点が並び、地元の食材を使った料理を提供するレストランがある。中でも朝捕れた鮮魚や店内で焼き上げるパンが人気で、イベントを開催する休日は多くの人でにぎわう。

隠れた名産品の発掘に力を入れてきた。昨秋には、地元の漁港で水揚げしたサワラを売り出し、大ヒット。それまでは関西方面への出荷が多く、市内で捕れると知らない人が多かったが、浜値が上がるほどの人気ぶりだった。

オープン後の客入りは予想を上回った。目標は年間八十万人だったが、開駅三カ月で五十万人が来駅。一年を待たずして百万人を達成し、関係者を驚かせた。

運営管理を任される「新三商事」(愛知県安城市、杉浦正泰社長)によると、市内からの客が七割以上を占める。ほとんどがリピーターで、自分好みの生産者を見つけるツウもいるという。売り上げは非公表だが、担当者は「見込みよりはいい」と話す。

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一年目はメディアへの露出が多く、宣伝効果が得られた。二年目以降、実力が試される。担当者は「飽きられてはいけない」と気を引き締める。

今月は美杉産の新茶を取り上げてPRする。来月は土用の丑(うし)の日に向け、ウナギの予約を始めるなど「地元産」と「旬」にこだわり、いつ訪れても楽しめる工夫に努める。

地域振興や生産者のモチベーション向上など数字で計れない面もあり利益が全てではないが、三億円余りを拠出した事業。投資に見合った来駅者数は維持すべきだろう。

来年度に中勢バイパスが鈴鹿方面まで開通する予定で、立ち寄る人はさらに増加する見込みだ。「津の北の玄関口」として存在感を示してもらいたい。