伊勢新聞

2017年5月28日(土)

▼障害児のリハビリなどを支援する「県立子ども心身発達医療センター」の開設記念式典で、「永続性」の花言葉を持つハナミズキを記念植樹した。「障害のある子どもを支援する中心的な役割」としてのセンターの永続性を祈念してだろうが、特別支援学校の「草の実校」と「あすなろ校」も隣接地に移転開校し、近くの緑ケ丘特別支援学校を本校に県立かがやき特別支援学校の各分校となるというから、何ともややこしい

▼学校教育法の改正で、視覚、聴覚、知的などの障害ごとの学校が特別支援学校に統一された。「特殊学級において教育を行うことが適当なもの」から「その他教育上特別の支援を必要とする児童・生徒及び幼児」へ、法の文言も変わった。隔離教育から、障害のある子もない子もともに学ぶインクルーシブ教育へという国際的な流れが背景にある

▼同改正で盛り込まれた特別支援教育とは、個別に教育的ニーズを把握して適切に指導・支援することで、従来の障害ごとの教え方を意味しない。取りあえず障害ごとに分けずに統合して教育することを目指し、やがて障害のある児童もない児童もともに学ぶインクルーシブ教育とする考え方が「特別支援学校」への名称変更にはある

▼長く隔離教育をよしとしてきた日本で急な転換は難しい。障害ごとに「分校」とする分かりにくい名称となったのはやむを得ない過度的措置だろうが、県では特別支援教育の浸透で特別支援学校の入学希望者が増えている。分校の移転開校も、学校種が実質固定し、隔離教育の延命にならないか、気がかりなことではある。