伊勢新聞

2017年5月27日(土)

▼本年度も、はや二カ月。「どうかね」と聞いたら、若手県職員が「マイナス45%シーリングですから」。どうもこうもありませんわと言わんばかり。新規とか目玉はあっても「目先を変えるなどして、既存の予算をどう確保かで精いっぱい」

▼「何かしようとすると、財源探してこいと言われますから気の毒ですよ」とは部長経験者。「いいのはポスト・サミット関連だけ」は先の若手県職員。伊勢志摩サミットから一年。さっぱり意気が上がらぬのは、二十八億円減で二年連続減少になった公共事業ばかりではないらしい

▼財政難の原因に予測を超えるサミット予算があることは各方面から指摘されている。政治家知事の放漫な財政運営のあと官僚出身知事が正常化するというのが一般的例だが、県の場合は逆になった。危機の財政を選挙戦で訴えた通りになった

▼「植田(=隆元副知事)がしっかり抑えてきたのに、財政の知らん副知事ばかりにしたんだから」と県OBは笑う。サミットというより、人事のミスという見方だ。県職員組合との給与削減交渉で、渡邉信一郎副知事が「財政運営の責任者として大変申し訳なく思っている」と言ったのは、衆目の一致するところということだろう

▼伊勢志摩サミット記念館がオープンした。風化させずに、子どもたちの視野を世界に広げる契機にしたいと鈴木英敬知事。サミットはじめ誘致した全国的イベントなどの巨額な経済効果や、それに伴う観光客の底上げ、民間業者自身による特産品振興など、このところ、県政の話題は、知事の意気込みの表明に傾いているようだ。