伊勢新聞

2017年5月23日(火)

▼森友学園問題と話題急浮上の加計学園疑惑とは構図が酷似しているという。安倍晋三首相との距離の近さで、加計学園理事長と首相とは「腹心の友」というから、ロッキード事件での田中角栄元首相と政商との「刎頸の友」を連想させる

▼「―の友」などと権力者が口にした場合どうなるかを示すパターンではあるのだろう。昭恵夫人が森友学園小学校同校の名誉校長を務め、録音記録で、財務省幹部が「特例」などと語っていることが明らかになっている。加計学園グループの保育施設でも、昭恵夫人は「名誉園長」だったと指摘され、文科省が〝首相案件〟だとして気を遣う内部文書の存在が取りざたされている

▼森友学園の籠池泰典前理事長にしてみると、昨日に変わる今日だろう。ある日を境に運命は暗転した。同学園に対する親近感にあふれた安倍首相の発言が冷淡に変わっている経過と軌を一にする。近畿財務局への不満を昭恵夫人付きの政府職員が財務省に取り次ぎ、丁寧な回答がくる。目に見えぬ力の存在を前理事長が思い込んだとしても、本人の責任ばかりとはとは言い難い

▼朝鮮総連ビル詐欺事件で有罪判決を受けた緒方重威元公安調査庁長官が周辺に捜査の手が迫る様子を書いていた。自分にも政府要所に友人がいる。安倍首相が激怒し、立件せざるをえなくなっているからだ、と。文科省内部文書の内容は、首相の周囲の反応としてそう驚くような話ではない

▼県でもかつて〝知事案件〟などの言葉が飛び交ったことがある。認可が異例の早さで下りたことも。担当者は出世する仕組みになっている。