▼酒飲みのだらしなさ、自制心のなさは、著名な作家などによって自慢話とも自己弁護ともつかぬ形でよくつづられるが、縁なき衆生としては読んでおもしろいともおかしいとも思ったことがない
▼だから、これほどなのかと思い知るのである。七期目で議長経験もある四日市市議たるものが、取引先を訪ねたら本人が留守だったのにその妻に勧められるまま留守宅で正体がなくなるほどたらふく酒を飲んだというのだ。常識に照らし、いまはやりの道徳に置き換えても、語るも愚かと言えないか
▼しかも「酔ってはいない」というのが酔っぱらいの決まり文句と聞くが、酒を勧めている相手が「酒は飲んでない」と言うのを本当かどうか、見極めがつかなくなっていて「送ったる」という車に乗り込んだというのだからお話にならない。車内ではぐっすり寝込んだが、女性が複数回接触事故を起こしたのは自分が降りてからだということには自信があるらしい
▼「酒も飲まないで本当の話はできんぜ」と言うのが口癖みたいな県職員がいた。誘いを断るとそう言っていたが、カラ出張事件の勃発でぴたりと言わなくなった。代わって「今はそんな時代と違うぜ」が口癖となり首脳に上り詰めた。酒飲みは、どこか信用できないところがある
▼四日市市議は、道交法違反(飲酒運転同乗)の疑いで書類送検された。取引先の妻が飲酒運転だったことに気づかず「結果的に同乗したことは間違いない。反省している」という供述を警察が納得したらこの容疑名にはなるまい。警察は容疑の認否を明らかにしていない。さもありなん。