2017年5月13日(土)

▼廣田恵子県教育長がユーモアの才も卓越していたとは知らなかった。全校調査をせずに越境入学問題の幕引きをしようとした県教委について「調査に時間がかかるため、どう解決するかということが先になってしまったのだと思う」

▼ニヤリともせずに言ったに違いない。解決を先送りしようとしたということである。臭い物にフタをして腐敗するまま温存していこうとしたということでもあろう。カラ出張に揺れる県を横目に二年間継続した県教委の体質を見事に射抜いている

▼労働時間の前年度比3%削減通達も、この体質と無関係ではあるまい。中学校約四十一時間、小学校二十五時間、県立学校十九時間という教員一人当たりの月平均残業時間の各3%か、全体の3%か、達成目標の形はどうでもいいからとりあえず3%か

▼「平均残業時間」というデータ自体、はなはだあいまいだ。名張市は小中合算で二十―三十時間だが、八十時間超えが三人。多い月は八人超。五年前校長が二人相次いで自殺したが、残業時間はゼロ。うち一人は教員の残業申告を認めず、学校職員には認める矛盾が心を病むきっかけといわれる

▼「教員の負担が増えている実態」(廣田教育長)の中で数字だけ抑えようとしたらどうなるか。年二十人前後といわれる教職員の自殺の増加が待ち構えているというのなら、それはそれで分からなくもない

▼鈴木英敬知事は「県教委にはスピード感を持って調査を」と相変わらずイケイケドンドンの突撃ラッパ。「慎重にスピード感を持って」と廣田教育長。混ぜっ返しているつもりかもしれない。